Foundations Engineering場所打ちコンクリート杭工法

ホーム  >  場所打ちコンクリート杭工法

場所打ちコンクリート杭工法

■■ 基礎工法 ■■

 「基礎」とは、「建築物の一番下にすえ、全重量をささえるもの」と一般的に定義されています。

しかし、基礎工法は下図のように、形状や構造物の荷重を地盤に伝える方式使用目的の違いによる分類材料施工方法による分類等があります。

基礎工法の工法別・形式別分類の例

場所打ちコンクリート杭工法について施工方法により分類すると下図のようになります。

掘削工法は機械で掘削するか人力で掘削するかにより分類でき、さらに機械掘削工法は使用する掘削機により大きく3タイプに分類できます。


場所打ちコンクリート杭工法に共通する特長は以下の通りです。


【 メリット 】

1. 低騒音、低振動である

2. 杭の耐力が杭寸法、コンクリート強度などの組合せにより設定できる

3. 掘削土から土質状況を目視で確認できる

4. 中間層に硬い層があっても掘削は可能である

5. 鉛直性度が高い


【 デメリット 】

1. 杭周辺および先端部の地盤が緩むことがある

2. 孔壁が崩壊することがある

3. 孔底の処理が必要である

4. 掘削土砂や廃棄泥水の処理が必要である


それぞれの工法の特長については以下をご参照ください。

場所打ちコンクリート杭の分類図

■ アースドリル工法 ■

【 工法の概要 】

 本工法は、ドリリングバケットを回転させて地盤を掘削、バケット内部に収納された土砂を地上に排土する方法で掘削を行う。孔壁は、表層部では表層ケーシングを用い、それ以深は安定液で保護する。掘削完了後、所定の形状に製作された鉄筋かごを孔内に建込み、トレミーでコンクリートを打込むことにより杭を築造する。


【 工法のメリット 】

1. 機械装置が簡単

2. 仮設が簡単で施工速度が速く工費が安い

3. 敷地境界から杭までの施工必要距離が小さい


【 工法のデメリット 】

1. 礫(約10cm以上)層の掘削が困難

2. 安定液の管理が不適切な場所には、孔壁崩壊を起こすことがある

3. 安定液の管理が不適切な場合は、支持力およびコンクリート強度の低下を生じうる

※廃泥土の処理がやや大変である



【 施工順序 】

eat02

① 掘削機を水平に据付け、ケリーバを杭心に合わせる。

② 掘削を開始する。表層ケーシングの建込み予定深度まで掘削する。

③ 表層ケーシングを鉛直に建込む。

④ 土質に適合した安定液を注入しながら掘削し、支持層の確認後、根入れ掘削を行う。

⑤ 一次孔底処理は底ざらいバケットまたは孔内水を良好な安定液と置換することで行う。

⑥ 孔壁測定により掘削形状の確認を行う。ただし、時期および頻度については設計図書等による。

⑦ 地上でかご状に加工した鉄筋を孔内中央に鉛直に建込む。

⑧⑨トレミー管を挿入し、沈殿物がある場合、二次孔底処理を行う。

⑩ トレミー管を使用して、所定の位置までコンクリートを打込む。

⑪⑫コンクリートの打込み完了後、表層ケーシングを引抜き、空掘り部分の埋戻しを行う。



【 アースドリル工法の機械・機械配置 】

eat01


場所打ちコンクリート杭の歴史や分類などを
収録したDVDの有償頒布もしています。
詳細は協会にお問合せください。

■ オールケーシング工法 ■

【 工法の概要 】

 本工法は、ケーシングチューブを掘削孔全長にわたり回転(揺動)・押込みながらケーシングチューブ内の土砂をハンマーグラブにて掘削・排土することで掘削し、所定の深さの地盤に達したら孔底処理を行い、鉄筋かごを建込み後、トレミーによりコンクリートを打込み、コンクリート打込みに伴いケーシングチューブおよびトレミーを引抜き回収を行う工法である。


【 工法のメリット 】

1. 杭全長にケーシングを使用するので孔壁の崩壊がない

2. 確実な杭断面形状を確保しやすいケーシングチューブ内径の1/3以下位の玉石の掘削が可能

3. 掘削した土砂の含水比が小さいため残土処理が比較的安易

4. 岩盤・転石などの掘削が容易

5. 鉄筋コンクリートなどの障害物の削孔・撤去が可能


【 工法のデメリット 】

1. 地下水位以下の細砂層が厚い場合には、ケーシングチューブの引抜きが困難となることがある

2. 杭径に制約がある

3. ボイリングやヒーリングが発生しやすい

4. 鉄筋の共上りが発生する事がある

5. 掘削機の自重や、ケーシングチューブ引抜き時の反力が大きい

6. 敷地境界から杭心までの施工必要距離が比較的大きい



【 施工順序 】

reva01

【 オールケーシング工法の機械・機材配置 】

reva02


■ リバース工法 ■

【 工法の概要 】

 本工法は、ビットを回転させ地盤を切削し、その土砂を孔内水とともにサクションポンプまたはエアリフト方式等により地上に排出することで削孔し、孔壁の保護は、表層部ではスタンドパイプを使用し、スタンドパイプ下端以深では、孔壁に形成されたマッドケーキと、孔内水および地下水の水頭差により行う。

 大径かつ大深度掘削に対応でき、特殊ビットを使用しトルクを増すことで岩盤の掘削も可能である。


【 工法のメリット 】

1. 大径(φ3.0m)で大深度(約75m位)の杭の施工が可能

2. 通常自然泥水で孔壁保護ができる

3. 特殊ビットによって岩の掘削が可能


【 工法のデメリット 】

1. ドリルパイプ径より大きい玉石(約15cm以上)層の掘削が困難

2. 水頭圧および比重の泥水管理が不十分であると孔壁崩壊を起こすことがある

3. 仮設が大がかりとなる

4. 廃泥水の処理量が多い



【 施工順序 】

01

【 リバース工法の機械・機械配置 】

02


■ 地中壁杭工法 ■

【 工法の概要 】

 本工法は、他の場所打ちコンクリート杭工法の掘削断面が円形であるのに対し、矩形断面の掘削機を用いるため矩形となる。掘削方法は掘削土をつかんで地上に排土するバケット式と安定液を循環しながらカッターを回転させ掘削し、掘削土を安定液と共に排出する回転式がある。

 掘削機は多種多様にあり、対象地盤、周囲の環境に合わせた施工が可能である。

 鉄筋かご建込みとコンクリート打設の施工手順は、場所打ちコンクリート杭工法と基本的に同様である。


【 工法のメリット 】

1. 大深度の掘削が可能(最大深度140m)

2. あらゆる地盤へ適用

3. 低空頭、狭隘地での施工が可能

4. 低騒音、低振動


【 工法のデメリット 】

1. 広い施工ヤードが必要

2. 補助工法が必要な場合がある

3. 工事費が割高




【 施工順序 】

地中壁_施工順序

① 油圧ショベルにて先行掘削(回転式のみ)

② 掘削機本体を据付け

③ 掘削(掘削容量に合わせた安定液を補充)

④ 一次溝底処理

⑤ 深度および精度確認

⑥ 二次溝底処理(良液置換)

⑦ 鉄筋かご建込み

⑧ トレミー管挿入

⑨ コンクリート打込み



【 地中壁杭工法の機械・機械配置 】

地中壁_機械機械配置_カラー


工法動画につきまして

当サイト内、すべての画像および文章の許可なしでの転載はご遠慮ください。

無許可の転載、複製、転用等は法律により禁じられています。

場所打ちコンクリート杭の歴史や分類などを
収録したDVDの有償頒布もしています。
詳細は協会にお問合せください。

日基協型 場所打ち杭施工管理装置「NBKS」の販売について

 当協会にて長年にわたり研究開発を行って参りました場所打ち杭のオールケーシング工法施工管理装置(日基協型場所打ち杭施工管理装置「NBKS」)についてご紹介いたします。 


【開発経緯】

 国立研究開発法人土木研究所、学校法人早稲田大学および一般社団法人日本基礎建設協会が、平成28年より平成30年に至るまで場所打ち杭基礎の設計の合理化・高度化を図ることを目的とした共同研究を実施し、その成果の一部として場所打ち杭のオールケーシング工法(回転式)の施工管理装置を開発しました。平成30年から土木研究所・国土交通省立会いの下、本装置を使用して試験施工を実施し、本装置の性能確認を無事完了しました。なお、令和2年9月改訂の「杭基礎施工便覧」(道路協会)には、本施工管理装置の内容を含んだ協会の発行図書(「場所打ちコンクリート杭施工指針・同解説オールケーシング工法(土木)」)が参考として記載されています。

pagetop